レコード、カセットテープ、MD、CD、MP3データ、と音楽形式は変遷を繰り返し、とうとう定額配信サービスなるものが登場しました。昭和生まれの私は驚きしかないのですが、2010年代はクラウド上にアクセスして音楽を聴いたり、無料でダウンロードするのが当たり前なのです。CDからパソコンに取り込むことすら時代遅れだったんですね。平成に取り残されてしまう危機感を胸に、今回は音楽ストリーミングのアプリに迫ってみました。

AppleMusicやGooglePlayMusicといった有名どころはあえて外して、LINE MUSICAWASpotify、そしてSoundCloudの4つをインストール。実際に使ってみての感想を交えながらご紹介したいと思います!これからの音楽シーンにとって要となるであろうサブスクリプションサービス、徹底調査スタートです。

音楽アプリ徹底調査

LINE MUSIC


いまや連絡手段アイテムとして無くてはならない存在となった、ご存知LINEが提供する音楽アプリのLINE MUSIC。LINEだけでなくエイベックス、ソニー、ユニバーサルミュージックの4社合同で設立し、音楽もコミュニケーションツールとして浸透させたい!という想いによりスタートしました。

素晴らしき哉!LINEとの連動性

一番特徴的なのは、なんといってもLINEでシェアできることでしょう。スタンプ気分でお気に入りの曲を友達と共有できるのはLINE MUSICだからこそ。

音楽ネタでさらに盛り上げれそう!

さらに着信音やプロフィールにも好きな曲を登録可能。LINE MUSICに登録さえしていれば30秒視聴可能で、チケットを持っていればフル再生されます。でもチケットも消費されちゃうので要注意!

見やすい!シンプル!使いやすい!

ご御覧の通り非常に分かりやすいレイアウト。丸ゴシックの書体も相まって清々しいほどの見やすさです。

カテゴリーは全部で33種類あり、ジャンルだけでなく気分でも選べます。邦楽を中心に、洋楽、ロック、アニソンなどが満遍なく揃っていて、新曲も随時追加されるのでお得気分も高まる!

プレイリストもバラエティ豊かで、時間帯によって変わるのもポイントです。何でもいいからイイ感じの曲をかけて!っていうときにはバッチリじゃないですか?個人的には年代別のカテゴリーがお気に入りです。

とくに面白いなと思ったのは作業用BGMのカテゴリー。アニソン系やカフェ系など細分化されているだけでなく、α波が出るもの、朝のメイク用に30分ピッタリで終わるものなど色々あって飽きさせません!

 

さらにアーティストが作成したものや音楽イベントをテーマにしたものなど、音楽好きも大満足の内容です。ユーザーが作ったプレイリストも公開できて、お手軽にDJ気分も味わえちゃいますよ。

再生画面も超シンプル。お気に入りもココから登録できます。右下にある3本線をタッチすれば歌詞も表示してくれるので、自宅でこっそりカラオケ気分も味わえます。

 

ログインすればPCからも楽しめます。ブラウザ版なのでアプリを入れる必要もないし、スマホ版と同期できるので、保存したお気に入りの曲やプレイリストもそのままOK!通信料も気にせず自分の部屋で音楽聴き放題です。

気になる料金プランは?

無料でも使用できますが視聴は30秒などの制限があります。登録した最初の1か月は無料かつ無制限で使えるので、これは是非お試ししておきたいところです。このトライアルキャンペーン、いつ終了するか分からないので気になる方はお早目に!

有料プランはベーシックプレミアムの2種類でチケット制になっています。10~20代をターゲット層としているだけあり学割制度も設けられています。音楽配信業界内ではLINE MUSICだけのサービスで、学生さんにはなんとも嬉しい試みですね。

プラン名 料金/月 利用可能時間
ベーシックプラン 500円 1ヶ月20時間まで
ベーシックプラン(学割) 300円 1ヶ月20時間まで
プレミアムプラン 960円 無制限
プレミアムプラン(学割) 600円 無制限

1日1時間くらいしか聴かない人ならベーシックプランでも充分かもしれませんね。

有料と無料、どう違う?

できれば無料で使い続けたいところ!有料プランとの違いを見てみましょう。

なおLINEアカウントでログインしていれば、無料でもプレイリストの作成プロフィールのBGM設定などができます。ただし再生される30秒は必ずしもサビという訳ではないそうです。有料だとフル再生に加え、音質調整やダウンロードによるオフライン再生が可能になります。通信料の心配がないのは有難いですね。

AWA

エイベックスとサイバーエージェントの共同出資により、2015年5月に日本初の音楽配信サービスとしてスタートしたAWA(アワ)。ちょっと変わった名前ですがとくに意味はなく、声に出したときの印象や、ロゴにしたときの収まりの良さを優先して決めたそうです。スタイリッシュ感は開発当初から意識していたんですね。

デザイン性の追及で実現した機能美

アプリを立ち上げて、まず驚かされるのはデザイン性の高さ。フォントや色づかいなど、ユーザーが音楽に夢中になれるようディティールまでしっかり作りこまれています。直感的に使用できるアイコンもクール!

 

ジャンルは全部で12種類。LINE MUSICではROCKと邦楽ROCKに区分されているのに対し、コチラはROCKとPUNKをひとまとめにするなどかなりコンパクトです。細かく分類されていない分、未知の曲との遭遇率も高まります。
ジャンルをタッチすると、ユーザーが作成したプレイリストがズラリ。新たな音楽との出会いの旅が始まります!

優れたレコメンド機能に脱帽!

AWAの最も大きな特徴は、好みの曲をおススメしてくれるレコメンド機能。履歴やお気に入りの曲だけでなく、スマホに保存している曲からも読み込みます。抽出した曲名やアーティスト名を反映させ、自分と音楽の趣味が似通った人の作ったプレイリストを紹介してくれるというシステムなのです。後述するSpotifyを研究して開発されたというだけあり、機能性も言うことなし!

スマホ内の音楽をAWAで一括管理できるも便利なところ。

プレイリストは最大8曲ピックアップできます。タイトルもユニークなものが多いです。

LINE MUSICと同じく、歌詞があれば表示可能です。右下のボタンでは、アルバム丸ごとお気に入り登録したり、アーティストページに飛んだりと結構いろんなことができちゃいます。さらにその下のハイライト再生ボタンをONにしておくと、曲の盛り上がりどころ90秒だけを聴くことも。

曲終わりがフェードアウトするのでブツ切り感がなくていいですね。シャッフル再生のときは、曲同士が重なり合って入れ替わるので途切れません。

NOW PLEYINGでは、他のユーザーが今まさに聴いている曲を見ることができます。AWAを通して様々な人とリアルタイムで繋がっていることが実感できる機能。

RADIOモードは、曲やアーティストを指定すると似た曲をチョイスしてくれます。お気に入りにしたい曲に突然出くわしても、コントロールセンターから操作できるので安心!

ウィジェット機能も新たに追加され、日替わりのプレイリストを表示させることも。ロック画面で操作できるので、さらにスムーズな操作が叶うのです。

定額プランは1つだけ!?

料金プランは、無料のFreeプラン960円の有料プランの2種類だけ。0か100かって感じで分かりやすいですね。それぞれの違いをまとめてみたので見ていきましょう。

Freeプラン Standardプラン
料金/月 0円 960円
利用制限 1ヶ月20時間まで 無制限
1曲あたりの再生時間 90秒のハイライト再生 フル尺再生
オフライン再生 ×

Freeプランでも意外と使える印象。LINE MUSICのベーシックプランとほぼ同じ条件です。フルで聴けなくてもいいと言う人は、ぶっちゃけコッチの方がお得カモ…!?

プレイリストを公開することもできるし、RADIOモードもOK。spotifyが日本に上陸する前までFreeプランは1ヶ月に1時間しか聴けなかったようなので、かなりspotifyを意識してますね。コチラも30日間無料でStandardプランを利用できます。トライアル期間を活かしてAWAの世界観に浸ってみては?

Spotify


音楽ストリーミング配信の覇者、とも言うべき存在のspotify。2008年にスウェーデンで誕生してからというもの、常にトップを走り続けている
業界最大手です。日本では2016年9月から開始し、国内では後発でありながらも大変話題になっています。

聴くほど育つアルゴリズム

Spotifyが競合他社よりリードしている点は、高度なキュレーションレコメンド機能にあります。再生履歴やお気に入りの曲に応じ、自分好みの楽曲をお知らせするサービスは勿論、再生回数が多くなるほどレコメンドに基づいた項目がどんどん増えていく仕組みなのです。その精度については海外のコアな音楽ファンもお墨付き!

LINE MUSIDやAWAと比べて邦楽少なめ。しかしながらメジャーなアーティストは一通りカバーできていると思います。

BROWSE機能ではランキングや新譜のチェック、ジャンル、気分などから選曲。中でもDISCOVERは大変人気の高いサービスになっています。日本では開始当初は未導入だったようですが、今年の1月からスタートしたそうです。私は登録して間もないためまだありません…。

Spotifyのアルゴリズムの素晴らしさはコレだけじゃありません。DiscoverWeeklyでは各ユーザーの好みを解析して作られたプレイリストが毎週月曜日に届きます。オーダーメイドのプレイリストが2時間分も届くなんて月曜が待ち遠しくなるじゃないですか!まさにSpotifyのコンセプトでもある新しい音楽との出会いが体感できるのです。

カタカナが多いので若干野暮ったく見えますね。せっかくカッコよく仕上げているのに勿体なく感じます。

カテゴリーは全部で33種類用意されています。数はLINE MUSICと同じですが、アニメがない代わりにゲームがあったり、R&Bとソウルが別カテゴリーになっていたりと、ジャンル分け一つとっても特色ありますね。

再生画面はAWAとよく似ています。(というか後発のAWAが似せているんですよね)左下の+をタッチするとMyMusicに追加され、お気に入りの曲として保存できます。その下のシャッフルマークは無料会員は解除できません。タッチすると有料会員に勧誘されます。

無料会員はスキップの回数に制限があり、1時間に6回まではセーフ。7回目にスキップするとやはり有料に勧誘されます。

飽きさせない!離さない!

53カ国のランキングがチェックできるトップ50に加え、SNS上で拡散されている上位50曲を集めたバイラルチャートも、他社との差別化を図るには充分すぎる要素ではないでしょうか。さすが目の付けどころがグローバル!

他の国の曲に興味があっても言語の壁があると検索すらできないところですが、コレなら世界のトレンドがもっと身近になりそうです。オリコンチャートに慣れている人にとっても新鮮かも。

ユーザーがプレイリストを公開することもできますが、Spotifyが提供するものがメインとなります。プロが作成しているだけあって内容も濃く、長時間楽しめるのばかりです。

しかも飽きさせないため、プレイリストの内容は随時変更されています。このマメさ、音楽が本当に好きなスタッフがいるからこそ成立するのでしょう。ユーザーのもっと聴きたい欲を搔き立てる粋な計らいじゃありませんか。

なおFacebookでユーザーでログインしている場合、ユーザー発信のプレイリストはカバーにプロフィール写真が使われるそうです。変更・削除は可能なので、公開するときはその点に注意した方がいいかもしれません。

率直に言って無料で充分なのでは?

多少の制限はあるものの、無料会員でもできることがたくさんあるSpotifyの魅力。じゃあ有料であることで得られるロイヤリティは如何程なのでしょう?

Freeプラン Premiumプラン
料金/月 0円 980円
利用制限 PC・タブレットは1ヶ月15時間まで 無制限
オフライン再生 ×
全曲再生 ×
広告表示 ×
スキップ制限 ×
高音質 ×

広告表示とオフライン再生の点で意見が分かれそうですが、ラジオ代わりに使いたいという人ならFreeプランでもかなり楽しめるかと思います。端末内の楽曲をアプリで管理できるところなどAWAとの類似点が多いですが、フル再生できるのは有り難い!

登録当初はFreeプランですがPremiumのトライアルもお試しできます。期限は7日、それを過ぎるとそのまま継続になるので気をつけましょう。ただ2017年3月に有料会員数が5000万を越えたことは、Premiumプランがいかに満足感の高いサービスかを物語っているように思います。

SoundCloud


2007年にドイツを拠点に開始したSoundCloudは、音楽サービスとしては古参。音楽版YouTubeとも呼ばれており、どちらかというとアーティストが楽曲を発表する場としての要素が強めの内容です。日本語対応していないので一見とっつきにくいですが、目で見て理解しやすいデザインになっているので、あまり心配はいらないかと思います。

最新ヒットチャートよりも早く新譜をゲット!?

他のサービスと絶対的に異なる部分は、ユーザーも楽曲を配信できる点です。シェリル・クロウやローリン・ヒルなど、Billboadの上位を占めるアーティストの多くがSoundCloudを利用してプロモーションしています。リリース前の曲を聴けるチャンスがあるのも人気の理由の一つ。

一般ユーザーも自由にアップロードできます。ミュージシャンにとっては有名無名関係なく平等にチャンスがあり、リスナーはどんどん新しい曲を見つける喜びがあるのです。

登録はFacebookかGoogleアカウントでログイン。ココでしか聴けない曲と思わせるコンテンツが多いため、コアな音楽好きが主な客層です。虫眼鏡マークをタッチするとSoundCloud chartsCharts by genreの項目が表れます。

 

まずはCharts by genreで各ジャンルのチャートを見てみます。Musicに入っているジャンルは30種類。とくに注目して頂きたいのは電子音楽の豊富なラインナップです。

Dance&EDM、DanceHaii、Disco、Electronic、Technoなど、ザッと見てもこんなに多彩。HouseだけでなくDeepHouseも分類されているあたりに強いこだわりをビンビン感じます。


Audioはネットラジオの音声のよう。ScienceやSportsなど11種類のジャンルが揃っています。SoundCloud chartsには話題の最新曲や、人気の高い上位50位がチャート形式で紹介されています。

 

ヨーロッパ発のサービスだけあって邦楽は消極的。JASRSACとの兼ね合いもあるのでしょうか?海外で大人気のBABYMETALの公式アカウントも一応存在しますが、公開している曲はゼロでした。

以前は2曲程あったそうですが権利関係で削除されたのかもしれません。しかしファンが投稿している曲はたくさんあるので別の楽しみ方もできるのです。

再生画面にはトラックが視覚化され、ジャケットもそれに合わせて左に移動します。

 

PC版の再生画面がコチラ。

波形の下にたくさんアイコンが並び、カーソルをあてるとコメントを見ることができます。

Stationは同じ曲をよく聴くユーザーのデータを元に、類似した曲をラジオのようにノンストップで聴かせてくれる機能です。DISCOVERとほぼ一緒ってかんじですかね。

JamiroquaiをかけてStevieWonderを勧めてくるとは!驚きからの納得!

聴くだけなら無料でOK

日本で利用できるのは無料のFreeプランと、有料のProプランUnlimitedプランの3つです。いずれもオフラインではなくダウンロード形式。1ヶ月$4.49でオフライン再生もできるSoundCloud Goというプランが先日新たに始まりましたが、残念ながら日本ではまだ利用不可です。では3つの料金プランを見てみましょう。

Freeプラン Proプラン Unlimitedプラン
料金 0円 $6/月 $55/年 $15/月 $135/年
ダウンロード 1000DLまで 無制限
アップロード 3時間 6時間 無制限

どちらかと言うと、有料プランはクリエイター向けの内容です。自分の曲がどのような環境で聴かれているのか、詳細に知ることのできるアクセス機能がセールスポイントになっています。FreeDownloadが許可されている曲はFreeプランでも落とせます。日本ではDLできない曲もあるので、その辺りはもう少し時間がかかりそうですね。

Freeプランでもダウンロードしたい!

単純に曲を聴くだけならFreeプランでも良さそうですが、通信料もバカにならないし、お気に入りの曲はできれば手元に置いておきたいもの。そんなときはフリーのダウンローダーがおススメです。※PC版に限ります

まずご紹介するのはSoundDrain

ロゴマークが同じなので公式なのでしょうか?操作も明快、ダウンロードしたい曲のURLを貼付けてDAWNLOADをポチっとな。MP3変換までめちゃくちゃ簡単にできちゃいます。ただしwindowsにしか対応していないようです。

macユーザーはofflibertyがおススメです。


こちらも先ほどと操作はほぼ同じ。右クリックの「リンク先を別名保存」をすればMP3データとしてあっという間に保存完了!YouTubeなら動画と音楽それぞれのファイルに変換することもでき、なにかと重宝します。くれぐれも個人的な利用目的以外では使わないでくださいね!

音楽配信サービスを定額プランで比較!

4つの音楽配信サービスをご紹介しましたが、有料プランをまとめて比較してみましょう。一番高いプランを1ヶ月使用した場合を条件としています。

LINE MUSIC AWA Spotify SoundCloud
楽曲数 2400万 3000万 4000万 1億5000万
料金/月 960円 960円 980円 15$
無料トライアル期間 1ヶ月 1ヶ月 7日 なし
オフライン再生
歌詞表示 ×
日本 日本 スウェーデン ドイツ

楽曲数は圧倒的にSoundCloudが多いです。しかし同じ曲をリミックスしたものも1曲カウントになっているため、曲数は判断基準にしない方が無難です。なおLINE MUSICとSpotifyは、支払い先を登録すればトライアル期間を延長できます。日本発のLINE MUSICとAWAは邦楽が、海外発のSpotifyとSoundCloudは洋楽が充実しており、誕生したお国柄が出ているのも面白いです。

これらをまとめると

  • LINE MUSICはJ-POPを主に楽しみたい人
  • AWAは洋邦楽のトレンドを一通り取り入れたい人
  • Spotifyは洋楽メインでメジャーどころを押えておきたい人
  • SoundCloudは洋楽のリミックスやマイナーな曲をもっと知りたい人

といった感じでしょうか。

いずれも無料で試すことができるので、自分の好きなジャンルの曲が多いかどうかを実際に確かめてみるのが一番です。内容としては、ポケットWiFiなどで通信料を気にしなくてもいい環境であれば、無料プランでも大満足のサービスばかりでした。

これから音楽配信サービスはさらに進化し、ソーシャル要素や高度なレコメンド機能をどんどん搭載するようになるでしょう。日本では特典付きのCDがまだまだ売れていますが、そういったメリットのないコンテンツ配信サービスがどこまで浸透するのか、今後の動向が楽しみです!

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