働き盛りの40代は、女性であっても会社や家庭での責任が重くのしかかる年代です。住宅ローンを組んで家を建てるか、子供をどの学校に進学させるかなど、お金にまつわる問題もまだまだ尽きません。

そういった背景からどうしても守りに入りやすい40代女性の就業状況ですが、転職という選択肢を持つことはあまりにも無謀なのでしょうか?そんな40代女性の転職事情や、成功させるための秘訣について迫ってみたいと思います。

35歳以降の転職は大変なの?

40代女性の転職理由は様々です。長引く不況からくる会社への不安、ボーナスカットや手当の削減、上司のパワハラ……。スキルアップを目指すために転職をする人もたくさんいますが、どちらかといえば転職せざるを得ない深刻なものがほとんどではないでしょうか。

とは言え、年齢のことを考えるとなかなか転職には踏み切れないもの。20代の女性と比べてハードルが高くなるのは事実であり、大変悩ましい問題なのです。

しかし現在において、ミドル層の転職は珍しいことではなくなりました。かつては35歳を過ぎると転職しにくくなる転職年齢35歳限界説がまことしやかに語られてきましたが、それは終身雇用が確立していた頃の話。2008年のリーマンショック以降、それまで当たり前とされていた定年退職という制度は瞬く間に崩壊し、働き方も随分と多様化しました。40代の転職は昔ほどネガティブなイメージではなく、むしろ積極的に40代を採用する動きが徐々に広まってきているのです。

だからと言って、なんの心構えも準備もなく転職活動を始めてはいけません。若さのある20代であればそれでも通用するかもしれませんが、40代では残念な結果にしかなりません。40代女性の転職活動は戦略を持って賢く臨まなければなりません。

40代女性だからこその強みがある!

若ければ若いほど転職に有利かと言えば、そうとも限りません。むしろ20代後半から30代前半の女性は、結婚や出産などをきっかけに辞めてしまう可能性が高いため、企業側はそこをマイナスポイントと見ることが多いようです。

その一方で育児の負担がある程度落ち着き、仕事に集中できる環境にある40代女性の方が転職しやすい場合もあります。求人の母数は少ないですが競争率も低いので、面接まで辿り着くことができれば採用される確率も高くなるでしょう。

40代女性は円熟した知識と豊富な経験、さらに部下をまとめ育てる能力が期待されています。企業がミドル層を募集するとき、育成に時間や手間のかかる人材は求めていません。業界や職種のスキルに長けた即戦力を求めています。

説得力やコミュニケーション力、機転を利かす柔軟さなどは、ある程度の年齢を重ねているからこそ滲み出るものです。とくに40代女性の相手を安心させることのできる会話術は、どの職種でも必要な要素となります。

こうしたミドル世代の女性特有のホスピタリティーを活かすことができる仕事として、近年では介護業界への転職が注目されています。介護職というとマイナスイメージばかりが先行しがちですが、経験や資格がなくても入れ、将来的に管理職を目指すことも可能です。

あまり知られていませんが管理職であれば一般企業と同等の待遇を得られますし、これからの時代ますます需要の高まる職種となるでしょう。同じ40代でも男性は介護職に対して抵抗のある人がまだまだ多いので、そういった観点から見ても40代女性が有利な業界と言えます。

若い世代の女性にはない有利な面、ミドル世代の女性特有のホスピタリティーが、40代女性の魅力を押し出す重要なファクターなのです。年齢を引け目に感じるのではなく経験値として捉え、これまでの知識やキャリアを柔軟に活かして自分の強みに変換してしまいましょう。

成功する人の共通点

自分の市場価値を知っている

転職市場において、求職中の人はいわば商品。この商品価値を正しく把握しておくことが、転職を成功させるための第一条件です。

ここで注意して欲しいのは、年収と市場価値の高さは比例しないということ。勘違いしている人が意外と多いのですが転職先ではまったく関係のないことで、同等ないしそれ以上の給与をもらって当たり前と認識すること自体が大間違いです。

業界によって平均年収は異なりますし、年収の高い業界にいたからといって評価が良くなることはありません。企業規模に関しても同じ。いくら大手に在籍していたと言っても、それはあなたの市場価値に直結しません。

転職は実績がモノを言います。自分の知恵や工夫が会社にもたらした利益、それが実績です。それに加えて、今まで積み上げてきたキャリアを客観的に分析することも大変重要なプロセス。この作業により市場価値を見出すことができ、希望する会社に相応するスキルを持っているかどうかを確認できます。
まず過去に出した実績をまとめてみましょう。営業職であれば売上や達成率が実績ですし、業務の効率化やコスト削減のために貢献したこともそれに含まれます。自信を持って自分の実績と言えるエピソードがないか、振り返って探してみてください。

またこれまでの仕事や身につけてきたスキルと一緒に、自分のキャリアについて見つめ直してみます。市場価値やアピールポイントを掴みとるだけでなく、現在できるこやこれからしたいことなどが明確になり、今後のキャリアプランを設定することにも繋がります。

企業の本音と建前を見抜ける

不採用が続く、面接にすら進むことができないと悩む前に、そもそも応募する求人を間違えていないか確認しましょう。雇用対策法及び男女雇用機会均等法により一部を除いて、企業は求人の際に年齢や性別を限定できません。しかしその裏には、本当に求人したいターゲットが存在していることを理解しておかなければなりません。

まずは募集要項をじっくりチェック。平均年齢28歳、経験不問、ポテンシャル採用など、若さを感じさせるワードが記載されている場合は20代を対象としています。若手社員の写真を掲載してるときも同じです。

20代を希望している企業に40代女性が応募しても、受かる見込みは殆どないでしょう。仮に面接まで進むことができたとしても、余程のことがない限り採用はされません。最初のスタートを見誤ってしまうと多くの時間や労力を無駄に費やすだけでなく、転職に対するモチベーションも下げてしまいます。

転職活動をスムーズに成功させるためには、企業の本音と建前を事前に見抜く力も必要なのです。

年下に対して冷静に対応できる

40代の転職となると、面接官が年下となる可能性は非常に高いです。面接だけではありません。入社後は年下の上司や先輩もたくさんいます。最近では年功序列もあってないようなものになりましたが、それでも戸惑いを感じる人は少なくないでしょう。

しかしプライドや頑固さは転職活動において必要なし!むしろ邪魔でしかありません。これまでの既成概念はリセットして、新しいことを学ばせてもらうというスタンスで臨むのが賢明です。過去にこだわる続けるのではなく、これから築き上げていくものを大切にしてください。どんなに優秀でも、使いにくいと思われたらそれまでです。

いくら自分の方が知識や経験年数が上だったとしても、上司は上司、先輩は先輩です。敬語や敬称を使うのはもちろん、年齢に関わらず誰に対しても丁寧な対応をとることが基本です。立場をまきわえ仕事は仕事と割り切って考えられる人は、転職先でも円滑な人間関係を構築できるのです。

自分を余すことなくプレゼンできる

40代ともなれば、受け身ではなく自分で自分を売り込む意気込みが必要です。実務経験や職務経歴はもちろんですが、採用担当者の立場に立って考えてみると思わぬ収穫があります。企業側が求めているものを読み解いた上で、自分を採用することで会社にどういった利益や変化が生まれるのかを主張しましょう。

ここで大切なのは自分の言葉で伝えることです。マニュアルのようなありきたりな言葉選びでは逆効果となります。40代のあなただからこそ胸を張ってアピールできるものが必ずあります。その長所を攻めの姿勢でプレゼンしてください。

絶対に諦めない

40代の転職は落ちて当然。10社応募して10社とも不採用なんてよくある話です。だからと言って、重く受け止めて辞めてしまってはダメ。
正社員を目指していたり、働きたい仕事があるなら尚更です。

これまでのやり方が間違っていなかったか、単に縁がなかっただけなのか、復習を兼ねてチェックしてみましょう。40代で内定を勝ち取ってきたのは、執念深く粘り強く頑張ってきた人たちばかり。自分の未来は自分でしか切り開くことができないのですから、覚悟を決めて何度もチャレンジすることが転職を成功させるための秘訣となるのです。

しかしながら、あまりにもゴールが見えない期間が長く続くと、肉体精神ともに疲れ果ててしまいますよね。そんなときは頭を切り替えるためにも、ちょっと休憩してみましょう。疲弊した状態でやみくもに続けても悪循環にしかなりません。友人と会ったり、美味しいものを食べに行くなどしてリラックスタイムをつくれば、また新たな気持ちで転職活動に臨むことができるようになります。

転職リスクを下げるためにしておくべき4つのこと

①働きながら転職活動

一度転職を意識すると、芋づる式にどんどん会社の嫌な部分が目につくようになるものです。でも転職先が決まらないうちに辞めてはいけません。退職後の転職活動は収入がないことが不安要素となり、焦燥感を雪だるま式に増幅させます。

貯蓄に余裕があるなら思い切って辞職して転職に専念する、というのもアリかもしれませんが、可能であれば働きながら転職活動するのが一番の得策。在職中は給与も支払われますし、不採用が続いたとしても心に余裕を保つことできます。

このとき会社の上司や同僚には秘密にしておきましょう。万が一バレてしまったら社内に居づらくなるだけでなく、現職を継続するという選択肢を捨てざるを得なくなる可能性もあります。勤務先に転職活動していることを報告する義務はありません。多少の罪悪感を感じたとしても、自分の将来のためと割り切ってください。

歯医者や眼科などの通院を理由にすれば怪しまれにくいですし、企業によっては平日の17時以降や土曜日に面接対応してくれるところもあります。通常業務に加えて時間をつくるのは大変ですが、上手く調整できる体制を築きましょう。

②必要年収を明確化

必要年収とは、自分や家族が生活するために必要な年収額のことです。これを知らずに転職を進めてしまうと後悔する可能性が高いため、事前に試算してきっちり準備を整えましょう。

  • 家族構成
  • 収入
  • 生活費
  • 住宅費
  • 保険料
  • 教育費
  • 貯金

上記の内容を基本に毎月発生する支出を加え、キャッシュフローを明確にします。現在必要とする年収ではなく、人生全体で必要なお金から算出することが重要です。

転職後の年収を比較しておけば、将来の資金不足を回避させることもでき、自分にとって本当に必要なお金がいくらなのか整理できるため、ライフプランを改めて見直すきっかけにも。ネット上には無料で利用できるシュミレーターもあるので活用してみましょう。

③内定から逆算してスケジューリング

年齢が上がるにつれて転職活動も長期化する傾向にあり、一般的にミドル層の場合、開始してから内定が決まるまで早くて3ヶ月~半年程と言われています。仕事を続けながらだと、さらに時間がかかるのは明白。焦りは禁物ですが、だらだらとした転職活動はさらにタブーです。目標をあらかじめ設定しておくと、そこへ到達するためにどうすればいいのかがクリアになり、現実にどんどん近づけていくことができるのです。

例えば3か月後の内定をゴールに設定したら、それに合わせて逆算してスケジュールやノルマを立てていきます。日々の計画にプラスして、いつまでに何をするか、どう行動するかなど、やるべきことをタスクリストにしてみましょう。視覚化すれば次にすべきことが把握しやすく、進捗状況が一目で分かることから達成感にも繋がります。

また計画は一度作ったらそれで終わりではありません。事あるごとに確認するクセをつけ、修正し、継続してチェックし続けるようにしましょう。

④徹底した情報収集

せっかく転職できても思っていた会社のイメージと全く違っていたら、その転職は成功したとは言えません。理想と現実のギャップに悩まされないためにも、応募前の情報収集はマスト要件です。残業代は給与に含まれるのか、福利厚生はしっかりしているのかなど、募集要項を読み込むことはもちろん、知りたいことは企業のホームページや電話から問い合わせてみるのが一番。

ネットの情報は発信者が匿名なので信憑性はありませんが、ザッと目を通しておくのも一つの手です。事業展開や評判、転職率なども併せて見ておきましょう。

社内に入らせてもらうことが可能であれば、そこで働く女性の様子も窺えます。面接のときにトイレをチェックしておくのも有効。清掃が行き届いていなければ、人手が不足しているブラック企業の可能性も考えられます。情報収集は企業研究に役立つだけでなく、自分の身を守る術でもあるのです。

情報チャネルで差がつく転職

40代の転職においては、ハローワークや新聞などで手に入る情報では不十分です。調べるだけでも時間がかかり、その都度用意する履歴書や職務経歴書の作成にも手間と労力がかかります。

ネットを利用すれば、年齢や職種を絞り込んで検索することができるため効率化が図れます。情報が更新されるスピードも段違い。転職を決めたら早い段階で転職サイトやエージェントを利用してください。パソコンやスマホの操作が苦手という人も検索や登録、メールのやり取りなど最低限の操作はできるようにしておきましょう。
とくに転職エージェントには、一般公開されていないハイレベルなものや、好条件の求人がたくさん存在しています。専属コンサルタントとマンツーマンで取り組むことができるのも大変心強いポイント。1人で探すよりも多くの情報を提供してもらえますし、日程調整から書類応募など面倒な作業を一手に代行してくれるので、働きながらの転職活動にはピッタリです。

さらにプロ目線のアドバイスやノウハウもしっかりレクチャーしてくれたり、企業に質問しにくいことも教えてもらえたりと、求職者には良いこと尽くめのサービスなのです。求人のために費用を捻出できる企業しかいないという点から見れば、ブラック企業を避けることにもなります。

複数のエージェントに登録すれば多くの情報と意見が得られ、サービスの比較もできます。しかし登録中はコンサルタントとの密なやり取りになるため、その分管理が面倒になります。各エージェントとの面談回数も多くなり、日程調整も綿密に管理しなければなりません。サポート期間が設けられているエージェントもありますし、欲張って登録してもすべてが中途半端な結果に終わってしまう可能性も。多くても同時並行は2社まで、初めて利用する人はとりあえず1社に登録してエージェントのシステムに慣れるのがいいでしょう。
ミドル層の転職は厳しいと言われていますが、多くの40代女性が転職を成功させているのもまた事実。便利なサービスを上手に活用して、内定の波に乗りましょう!

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