転職時のアピールポイントとなる資格。業種によっては、資格が転職活動を大きく左右すると言っても過言ではありません。戦略を立てて転職に臨むのであれば資格は持っておきたいところです。
ただ、たくさん資格を持っているだけでは意味はありません。肝心なのは転職先で資格が役に立つかどうか。取得すべき資格を把握することが、転職成功までの道のりを最短距離にする術です。効率的に勉強する方法や注意点などのポイントを押さえつつ、女性の転職に活かせる資格をご紹介したいと思います。
資格の種類と特徴
資格には種類があり目的や難易度も異なります。代表的な職業と併せて、それぞれの特徴を見てみましょう。
国家資格
法律に基づき、国または国から委託された機関が試験や認定を行います。難易度の高いものが多いですが、合格者は知識や技術を国から保証されるため、社会からの信頼も厚くなります。また国家資格の中でも業務独占資格、名称独占資格、必置資格の3つに分類され、これらが重複する場合もあります。
業務独占資格
有資格者だけが従事でき、それ以外の人が業務にあたることが禁止されている資格。分かりやすく言うと、特定の業務を独占して行うことができる資格です。
医師、看護師、弁護士、税理士、一級建築士、薬剤師などが当てはまり、この資格を持っている人は名称独占資格も同時に持つことになります。
名称独占資格
有資格者だけがその資格の名称を利用して業務に携わることのできる資格です。独占するのは名称のみなので、資格を持っていない人も業務を行うことができますが、専門性が高いため将来独立することも可能。
代表的な職種に、介護福祉士、管理栄養士、調理師、マンション管理士などがあります。
必置資格
特定の事業を行う際、必ず1人は有資格者を置かねばならないと定められている資格。社内で資格取得の奨励や義務化する企業もあり、資格手当を受けられることもあります。
宅地建物取引士、社会福祉士、クリーニング師、保育士、管理美容師などが挙げられます。
公的資格
省庁が定めた審査基準をもとに、民間団体や公益法人が試験を実施します。つまり該当分野における受験者の実力を認定するためのものです。国家資格のように業務独占や名称独占はありませんが、信用度も知名度も高い資格が多いため転職に活かすことも充分可能。
例として秘書技能検定、日商簿記検定、登録販売者、ケアマネージャー(介護支援専門員)、色彩検定があります。
民間資格
民間の企業や団体が実施している資格で、法律の規定はありません。独自性が高いものが多く、国際的に認知されているものもあれば、趣味の世界を追及するものまで実に様々。企業によっては国家資格と同等に重視する資格もあります。
とくに有名なものは、TOEIC、TOEFL、MOS、介護職員初任者研修などです。
持っていると有利な資格はズバリ○○!
これから資格取得を目指すなら、転職したい職種や業界で必要とされている資格を取るのがベスト。とくに女性におすすめする資格を職種ごとに見ていきましょう。
オールマイティに活かせる資格
普通自動車第一種免許
すでに免許を持っている人からすれば不思議に思うかもしれませんが、免許を持っていない人は意外と多く存在し、交通の便がよい都会ではその傾向がとくに強くなります。求人の必須条件の中でも最も多く挙げられる資格でもあり、この資格を持っていれば転職できる職種の幅は格段に広がります。
TOEIC・TOEFL
厳密に言うと資格とは違いますが、どちらも英語力を判断するために重要視されるテストです。海外ではTOEFLの方が認知度が高いですが、日本ではTOEICほど浸透していません。そのため国内企業ならTOEIC、外資系企業ならTOEFLが好まれるようです。またTOEICは600~800点、TOEFLは213点以上のスコアであれば転職の際にアピールポイントとなります。
経理・事務系
日商簿記検定2級
商工会議所が主催する公的資格。経営や経理に関する知識が身につけられ、転職先の業界に関係なく持っていて損はありません。3級程度であれば一般的なレベルとなるため、転職に活かすのであれば2級以上を取得しましょう。
MOS(Microsoft Office Specialist)
WordやExcelなど、Microsoft社のアプリケーションのスキルを証明するための民間資格です。ほとんどの企業で使うため事務職には必須の技能であり、活用の幅が広いのが特徴。全部で5種類ありますが、Word、Excel、PowerPointの3つがあれば一般的にはアピールポイントとなります。
秘書技能検定
秘書として働く能力を身につけるもので、知識と技能が求められる公的資格です。この資格がなくても秘書として働くことはできますが、一般知識やマナー、接遇など、社会で必要とされるビジネスマナーが修得できます。3級、2級、準1級、1級の4つの段階に分けられており、2級以上になると評価が高くなります。
医療・介護系
登録販売者
一般用医薬品(第2類・第3類)の販売ができる公的資格です。副作用のリスクが高い第1類医薬品は薬剤師以外販売できませんが、薬局やホームセンターなどの需要が高く、求人数も比較的安定しています。2015年に受験資格の制限が廃止されてからは、ますます注目を集めています。
介護職員初任者研修
介護業務における知識や技術を一通り身につけるための民間資格。経験や資格がなくても受験でき、介護に携わる方の多くが最初に取得する登竜門でもあります。実務経験を積めば介護福祉士やケアマネジャーの受験資格が得られるため、介護業界でのキャリアアップには欠かすことができない資格です。
金融・保険系
貸金業務取引責任者
貸金業についての法律や実務的な知識が求められる国家資格。従業員が違法行為をしないように、助言や指導を行うのが役割です。2010年に施行された改正貸金業法により金融機関は各事務所に必ず有資格者を配置しなければならなくなりましたが、人材が不足しているため需要の高い資格と言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
保険の見直し、住宅購入、ローンの返済、投資などの資金運用のアドバイスが主な仕事内容です。国家資格と民間資格の両方あり、少々複雑になっています。
国家資格のFP技能士は、日本FP協会と金融財政事情研究会の2団体が主催しています。難易度は3段階になっており、一度合格すれば更新する必要がありません。対して民間資格のAFPとCFPは、日本FP協会が実施しています。AFPは2級FP技能士、CFPは1級FP技能士とほぼ同じ難易度ですが、どちらも有効期限があります。この資格を使って転職する場合は2級FP技能士を目指すといいでしょう。
建築・不動産系
インテリアコーディネーター
居住性や機能性を考えながら、顧客のニーズに合わせて快適な住空間を演出する仕事です。民間資格なので有資格者でなくてもこの仕事に就くことは可能ですが、住宅やリフォームなどの不動産関連をはじめ、建築事務所、インテリアメーカー、販売店など、多くの分野においてアピールポイントになるでしょう。
宅地建物取引士
宅建の略称で知られている注目度の高い国家資格です。不動産の売却や購入といった不動産売買の法律的なアドバイスができます。建築関係や金融機関など多くの業界で需要があり、転職にも繋がりやすいのが人気の理由。民法や税制関連など出題範囲が広く難易度も高いので、取得までは1年ほど時間をかけて勉強するのが現実的なようです。
飲食・サービス系
サービス接遇検定
接客やサービス業界に必要な知識やコミュニケーション能力を測るための検定試験です。民間が認定する資格ではありますが、言葉づかいやクレーム対応、振る舞い方などは業界を問わずに求められ、顧客と接する機会の多い職種には必要不可欠のスキルです。1級から3級までのレベルに分けられていて、2級以上であれば転職時に大いに役立ちます。
販売士(リテールマーケティング)検定
販売や接客に加え、マーケティング、経営、労務などの知識に関する資格で、小売分野では唯一の公的資格となります。試験は4つのレベルがあり、1級を取得すると高度な専門知識を持っていることが証明できます。小売業や流通関係に適していますが、店舗経営、飲食業、サービス業、またこれらの業種を取引先とする企業など、守備範囲が広いのも特徴です。
効率的に資格の勉強をしよう!
働きながら資格の勉強をするのは想像以上に大変です。社会人は学生と違い、勉強に充てる時間は限られてしまいます。独学、通信講座、専門学校といった勉強方法がありますが、ライフスタイルや費用にも関わってくるため、どれを選ぶべきか迷いますよね。それぞれのメリットやデメリットから、自分に合った勉強方法をチョイスしましょう。
費用を抑えたいなら独学
独学の最大のメリットは教材費用だけで済ませられるところ。参考書や問題集さえあれば今すぐ始められ、学校に通うよりも安上がりです。自分のペースで勉強できますし、筆記試験だけなら独学で合格を狙うことも可能でしょう。
ただし、教材選びはとても重要です。実際に手に取ってみたり、ネットのレビューを参考にするなどして、自分に合うものを見つけなければなりません。難易度の高い試験であればテキストが何冊も必要になるため、結局費用がかさんでしまうリスクも視野に入れておくべきです。
時間も努力も要するため、モチベーションを維持し続けるのが辛いときもあるかもしれません。だからこそ自主性を持ってマメに勉強できる人は独学でも大丈夫です。
通信講座
独学は不安だけど通学するほど時間もない、という人には通信講座を受けるという手もあります。試験の傾向や対策が練られていて、市販の教材よりも内容が充実している場合が多いのも魅力の一つ。最新のデータが反映されるため、法改正などの情報も漏れなく得ることができます。またテキストやwebでの学習がメインとなるため、自分のペースで勉強できるところも大きなメリットです。
デメリット面としては、疑問点があってもその場で質問できない点が挙げられます。解決までに時間がかかるので、その分効率が悪くなります。また独学にも共通して言えることですが、実践的なスキルが身につかないため、試験に実技がある場合は不利となる場合もあります。
通信講座を選ぶ際は費用面だけでなく、受講者の評判、サポート体制、サンプル教材もしっかりチェック。とくにテキストの見やすさは勉強のしやすさに直結します。
通学講座
カリキュラムに従ってスクールに通う通学講座は、毎回決められた曜日や時間に受講するため学習リズムが身につきやすいのが特徴です。経験豊富なプロの講師から授業を直に受けられるので、勉強のコツや他では聞けない情報も得やすい環境と言えるでしょう。対面なので疑問に思ったこともすぐ質問できますし、他の受験生から刺激を受けることでモチベーションの維持や向上にも繋がります。
その代わり高額になるため、まとまった受講費用が必要になります。さらに毎回同じ時間帯に通学しなければならないので、働きながらでは時間が捻出できない場合も考えられます。会社や自宅の近くに開校していればいいのですが、遠方から通うとなれば通学時間のロスタイムも軽視できません。
時間とお金に余裕のある人、最短で取得したい人、一人で勉強することに自信がない人は、通学講座を選んで効率的に学習するのがお勧めです。
取得すべき資格を見極める
前途の通り、転職を望む業界や職種で活かすことのできる資格を取得することが第一条件です。たくさん資格を持っていたとしても、使えないカードが何枚あっても役に立ちません。間違った資格を選んだが故に時間と労力を無駄にしてしまった、なんて残念すぎます。
合格することだけが目的ではない、ということを忘れないようにしましょう。知識を深めるために資格を勉強していたはずなのに、試験の要点だけをおさえるような学習は本末転倒です。その資格をどう活用するのか、取得後まで見据えて考えておくことが大切なのです。
転職活動において、資格は確かに武器となります。しかし戦略を持って取得する資格を選ばなければ意味を成しません。どんな資格があれば希望する未来に近づけるのか、いま一度自分の内なる声に耳を傾けてみてください。
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